管理人の日々徒然&ジャンルごった煮二次創作SSアリ
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暑さのせいでどうにも疲れがとれにくくて、毎日早々に寝てしまうのですが、現代物も気晴らしに書いてます。
が!
あまり早く書けてません(汗)
とりあえず、前々から何度か予告はしていたのですが、「I trust You ~ Takumi & Mitsuka ~」をブログでのんびり更新していきたいと思います。
理一郎の弟の拓海の話ですね。
もちろん、理一郎たちも登場しますのでお楽しみに。
時系列的には「I trust You」から「Close to You」の間の話になります。
何故ブログで更新なのかというと、あまりにも遅筆すぎて、なかなか進まないからです。
「北王」は見切り発車すぎて、いまさら下げられずに大変申し訳ないと……
そういうこともあって、サイトで更新するほどのものでもなく、「なろう」さんでもできないということで、書きあがったら即書き込めるブログがいいかな~と。
あと、最近ブログで読み物ないしね……(申し訳ないです)
なので、「なろう」さんのほうでも宣伝とかするつもりないです。
ブログで先行して公開したいと思います。
「なろう」さんでは、完結してから更新しよう。うん。
というわけで続きからどうぞ~。
(けっこう長いですよ)
が!
あまり早く書けてません(汗)
とりあえず、前々から何度か予告はしていたのですが、「I trust You ~ Takumi & Mitsuka ~」をブログでのんびり更新していきたいと思います。
理一郎の弟の拓海の話ですね。
もちろん、理一郎たちも登場しますのでお楽しみに。
時系列的には「I trust You」から「Close to You」の間の話になります。
何故ブログで更新なのかというと、あまりにも遅筆すぎて、なかなか進まないからです。
「北王」は見切り発車すぎて、いまさら下げられずに大変申し訳ないと……
そういうこともあって、サイトで更新するほどのものでもなく、「なろう」さんでもできないということで、書きあがったら即書き込めるブログがいいかな~と。
あと、最近ブログで読み物ないしね……(申し訳ないです)
なので、「なろう」さんのほうでも宣伝とかするつもりないです。
ブログで先行して公開したいと思います。
「なろう」さんでは、完結してから更新しよう。うん。
というわけで続きからどうぞ~。
(けっこう長いですよ)
【I trust You ~ Takumi & Mitsuka ~】
■第一話
■第一話
この人は何を言っているんだろう?
目の前にテレビがあって、ドラマでも見ているような錯覚を起こしそうになる。
光佳は自分の心が冷えて固まっていくような気がした。
「うちの篤朗(あつろう)は、会社でも係長なんですよ。次男とはいっても、これから主人と長男を助けて会社を支えていく人材なんです」
「ええ、それは十分わかっております。優秀な社員さんだと聞いております」
「ですからね、おたく様の……あら、ご主人はどこの大学を卒業されていらっしゃったかしら?」
「いえ、私は高卒で市役所に採用されましたので……」
「あら、まあ、高卒……」
この席はなんのために設けられたものだっただろうか。
たしか自分と恋人の篤朗の結納をするためだったはずだ。
なのに何故、彼の母親が一人でマシンガンのように喋り続けているのだ。
おまけに彼の父親ときたら、社長業を理由にこの場所にさえ姿を見せていない。
高卒で何が悪い。
おそらく父はそう怒鳴り散らしたいに違いない。
それを膝の上で拳を握りしめて、ひたすら我慢しているのだ。
市役所の職員に採用されて以来、地道に働き続けて約三十年。大卒の採用者よりは遅れたが、これでも課長職についているのだ。
一つの場所でずっと働くことだってけっこう大変なことだ。
光佳はそんな父をすごいと思っている。
その父を軽んじられているようで非常に面白くない。
「うちはね、大正から続いている家なんですよ。ご先祖様が事業を起こして、代々受け継いできたんです。由緒正しい家柄なのに、どうして……」
それはそれは高級そうな着物を着た彼の母親は、不満そうな様子を隠しもしない。
なるほど、言いたいのはそこか。
こちらがムッとしたのがわかったのだろう。相手は先ほどの発言をなかったかのように話題を変える。
「そうでしたわ。坂崎さんの家は光佳さんが跡取りだと……」
「え、ええ、うちは娘ばかりですから篤朗くんには婿に来てもらえたらいいのですが」
「まあ! それじゃ篤朗にうちと縁を切れとおっしゃるの!?」
「まさか! そんなことは言ってません。家の名前を引き継いでくれたらいいんです」
「だったら、他にも娘さんがいらっしゃるんでしょう? そちらに家をおまかせになったらいかが?」
そう言われればそのとおりなのだが、自分勝手に話を進めてもらっては困る。
「とにかく、うちの篤朗はよそ様へ出す気はありませんから、光佳さんがうちに来てくださる?」
光佳は呆れ果てて、ため息をつくばかりだ。
父はさすがに年の功だけあって落ち着いた対応をしているが、これは光佳のためであって、結納の席でなかったらこの場から立ち去っていることだろう。
母に至っては呆然とした表情になっていて、もしかしたら頭の中が真っ白になっているのかもしれない。
しかし、光佳が呆れ果てているのは目の前にいる女性ではなく、恋人のほうだった。
先ほどから彼、徳永篤朗(とくながあつろう)は一言も声を発していない。こちらと視線を合わせることもせずに黙って下を向いている。
母親を諌めるくらいしてくれたっていいのに。
「篤朗さん」
彼の母親が一呼吸ついた間を狙って恋人を呼んだ。
「どういうことなの? あなた、大丈夫だって言ってたわよね。自分は次男だし、私の家に婿にくるのは問題ないって」
「俺だってそう思ってたよ! でも母さんが……」
そう言って篤朗は母親の顔色を窺うような素振りをする。
「篤朗くん、君は自分の将来も決められないのかね?」
父も相当怒っているようだ。家に挨拶に来たときには、いい青年だと褒めていたのに。
目を閉じて深々とため息をついた。
「お父さん、もういいわよね?」
光佳はその場から立ち上がった。
「光佳、本当にいいのか?」
両親もつられたように立ち上がる。
「いいわよ。もう」
呆れたというか、百年の恋も冷めるってこういうことを言うのか。それとも、自分はどうしても一緒にいたいと思えるほど篤朗のことを想っていなかったのか。
「申し訳ありません」
それでも一応は礼儀だと深々と頭を下げた。
「この話はなかったことにしてくださってけっこうです。すべてこちらが悪いということにしてください」
「光佳!?」
篤朗が慌てたように立ち上がるが、光佳は彼に一瞥もくれずに部屋を出て行った。
両親が光佳の後を追って出てくる。
「光佳、無理しなくていいのよ?」
いままで口もきけなかった様子の母が気をつかったように言ってきた。
「そうだぞ。俺たちは無理におまえに跡を継がせようとは思ってないからな」
「わかってるわ。お父さん、お母さん。私が嫌になったのよ。このまま結婚したって、あのお母さんとはやっていけないわ。関わらないようにしたって、なにかと口を出してきそうな気がするもの。私はね、結婚したら相手のお母さんだけじゃなく、ご家族とも仲良くやっていきたいの」
「そ、それは……」
「そうかもしれないがな……篤朗くんのことが好きなんだろう?」
父に言われて軽く俯いた。
先ほどから何度も考えている。
「わからなくなったの……本当に好きだったのかしら。結婚を焦ってたのかもしれないわ。篤朗さんがお婿に来てくれるって言ってくれたから、嬉しくなっただけなのかもって……だってもう呆れちゃって、私、あの人とよく付き合ってたなって思うくらいよ」
「まあ、それは父さんも思ったがな」
父もあからさまに悪いことは言わないが、失望したに違いない。
篤朗もマザコンではないのだろうが、あの母親には頭が上がらないのかもしれない。
「それに社長……むこうのお父さんもお父さんでしょう? 前々からこの日は結納だってわかってたはずなのに、予定が入って来られないってどういうことよ」
「社長なんだから、はずせない用事とかがあったんじゃないか?」
「そんなわけないじゃない」
光佳はフンッと鼻をならした。
「一昨日、お得意先の社長さんから釣りに誘われたって廊下で大きな声で喋ってたもの」
いくら次男とはいえ、息子の結納の日に後から用事を入れるなんてことありえないだろう。
事前に約束していたのならともかく、息子の結納よりも釣りが大事ってことなのか。
こちらをバカにしているにも程がある。
「まあ、酷いわ……」
母も眉をひそめた。
息子である篤朗のことはずいぶんと可愛がっているようなのに、その結納に姿を見せないということは言葉に出さなくともこの結婚話に興味がないとしか思えない。
実際、彼の家に行っても留守ばかりだった。普通、息子の結婚相手に興味くらいは持つのではないだろうか。
あの時点でもう諦めていたほうがよかったのかもしれない。
光佳はチラリと後ろを振り返った。
篤朗は自分たちを追って誰もあの部屋から出てくる様子もない。
部屋を出る間際、「まあっ! なんて失礼な人たちなの!?」と彼の母親が金切り声をあげていたが、失礼なのはどっちだか。
前に向き直ってため息をついた。
追っても来ないなんて。母親をとりなしているとでも言うのなら大目に見てもいい。
こういう場合、どうしても結婚したいのなら母親を放ってでも追いかけてきて行かないでくれとか、よく話し合おうとか言ってくれるのではないか。
所詮はその程度にしか想われていなかったのかもしれない。
そう考えるとお互い様なのだと、いままでの何もかもが馬鹿馬鹿しく思えてきた。
後ろ髪を引かれる思いすらなく歩き出す。
むしろ明日会社に行くことを考えると気が重くなってくるのだった。
光佳が危惧したとおり、翌日には会社中に婚約破棄の噂が広まっていた。
社内恋愛が周知の場合、こんなときが一番面倒なことになるのだと思い知った。
噂の内容としては、昨日のことが概ねそのまま伝わっていた。
「もったいない。美人なのにな、坂崎さん」
「顔がいいだけだったんでしょ。お母さまに嫌われたって話じゃない」
「社長なんて元々反対してたらしいよ」
他にも色々と言われた。
全面的にこちらが悪いということになっているようだ。
もうそれでいいと言ったのはこちらなので、悪く言われても仕方がない。
だが篤朗も篤朗だ。
顔を見せもしないどころか、少しくらい否定とかフォローとかしてくれたっていいのではないか。
自分に否がないとでも思っているのか。
職場は同じでも所属する課が違って助かった。
少なくとも顔を見なければ不愉快な思いをしなくて済む。
それから週末まで社内で飛び交う噂に耳を貸しもせず、興味本位や面白がって訊ねてくる同僚たちともろくに話をせずに過ごした。
ようやく金曜日となり、明日から二日間は会社のことを気にせずにいられる。
篤朗とのデートの約束もない。
土日の予定が空いてしまったので、何か習い事でもしようかと考えた。
とりあえずゆっくりと考えればいいかと思いながら終業後にロッカールームへと向かっていると、社長秘書に呼び止められた。
社長が直々に呼んでいるという。
もしかして、息子との婚約が破談になったことで文句でも言われるのか、もしくはクビかと覚悟を決めて社長室に向かった。
秘書に促されて初めて社長室に足を踏み入れると、真正面のデスクに小太りの中年男性が座っていた。
「ああ、よく来たね。座りなさい」
「はぁ」
なんだか機嫌よさそうだ。
自分の息子を振るとはどういう了見だなどと言われるかと思っていたのに。
おずおずとだが指し示されたソファに腰掛ける。
ソファは座り心地がよかったが、深く腰掛ける気にもならず、すぐに立ち上がれるようにと浅めにかけた。
「先日は息子と妻が失礼なことをしたね」
「え……? あ、いえ、こちらこそ大変申し訳ないと思っています。ですが」
もう済んだことだと続けようとしたのだが、社長に遮られる。
「ところでね、君も今の部署では仕事がしづらいだろう?」
「別にそんなことはないですけど」
部署というよりは会社そのものに居づらくて、折をみて退職させてもらおうかと思っていたほどだ。
しかし、社長は光佳の返事は聞いていないのか、喋るのを止めない。
「そこで君を秘書課に配置換えすることにした」
「秘書課!? どうしてですか。私は秘書検定すら受けたことがありません」
「それはおいおいでもいいだろう。私専属となれば誰も文句は言わせんよ」
「は?」
どういうことだと問い返そうとしたのだが、社長は立ち上がって光佳の隣に座ってきた。
「どうかね? 今日は金曜日だし、ホテルで食事でもしながら仕事の話をしようじゃないか」
そう言って腰に手を回して臀部をなで上げてきた。
途端に光佳の全身が泡立つ。
「やめてくださいっ!」
反射的に立ち上がって距離をとる。
「篤朗はいかん。頭の出来はいいんだが、子どものころから妻にだけは逆らわないんだ。それに、息子よりも私のほうがいい思いをさせられるんだがね」
この部屋にはいったときは人の良さそうな顔をしていたが、今の社長はニヤニヤと好色そうな笑いを浮かべて光佳の全身を舐めるように見ていた。
「もったいない。君は息子にはもったいないような美人だ。スタイルも抜群にいい。君のような女性をパーティーに同伴できたら自慢もできる」
「奥様がいらっしゃるじゃありませんか!」
「妻はダメだ。もう年をとりすぎている」
どういう意味なのかわかりかねた。
既婚者なら妻を同伴するのが一番ベストなのではないか。
ひょっとして社長が息子との結婚を認めなかったのは……
「篤朗との結婚をやめてくれてよかったよ。これで堂々と君を連れ歩ける」
逃げた光佳にゆっくりと近づいてくる。
「近寄らないでください!」
「そんなことを言っていいのか! クビにしてやるぞ!」
「かまいません」
「何!?」
「元々そのつもりだったんです。失礼します」
一応礼儀とばかりに一礼すると、さっさと退室した。
扉の外にいた秘書は出てきた光佳を気の毒そうに見た。同情されても嬉しくない。
とっとと家に帰って退職願いを書こう。
自然と早足になってロッカールームへ行き、帰り支度をすると会社を出た。
駅へ向かいながら携帯電話を取り出し、着信拒否していた電話番号を呼び出す。
何回かのコールの後、ここ数日間聞いてない声が聞こえた。
『光佳? よかった。連絡くれて……ごめん、この間は母さんが……』
どこかホッとしたような声にも聞こえるのは、もしかして光佳がヨリを戻そうと謝罪の電話でもしてきたのだと思ったのだろうか。
『でも俺は光佳との付き合いをやめるつもりは』
なんだそれは。
いまさらそんなことをいうのか。何故あのときに言わなかったのだ。
すぐに追いかけてきて、「一緒に頑張ろう」と言ってくれれば光佳だって気持ちを変えることはなかったのに。
それに会社にはちゃんと出てきていたのだから、社内で声をかければよかったのだ。
こちらから連絡をとってくるのを待っていたとでもいうのか。
いったい何様のつもりだと言いたくなる。
もう失望を禁じえなかった。
篤朗だけではなく、彼の家族そのものにだ。
「あなたの父親なんなの?」
あえて「社長」とは言わなかった。
『え……父さんがどうかした?』
「私にあなたとの結婚をやめたのなら、愛人になれと言ってきたわ」
『なんだって?』
「愛人よ! ……正確には秘書だけど、あなたの母親の代わりにパーティーに連れて行きたいそうよ」
『だって、それは仕事だろう?』
ぎゅっと眉根が寄る。
そりゃあ誰だって父親のことを悪く言われたくはないだろう。ましてや堂々と浮気宣言したなどと聞けば信じたくもなくなる。
「……ホテルに行こうと言われたわ。行かなかったらクビにするって」
『そんなこと言うはずがない! 君のことは美人だって褒めて、あんな娘が恋人なんて俺のことが羨ましいって……』
「顔ばかり褒められてもね。それに私とあなたの前でそんなこと一言でも言ったことある?」
ため息しか出てこないってどういうことだろう。
顔と体ばかり褒められて、そればかり見られていたということだ。好色そうな目で。
「クビにされるのなら本望だから。今から帰って退職願を書くわ」
『光佳!? まっ』
一方的に電話を切ると、駅へ向かって歩き出した。
元恋人への未練すら残ってはいなかった。
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ヒーロー……実は三話目くらいまで登場しません。
私にしては珍しい……
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