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管理人の日々徒然&ジャンルごった煮二次創作SSアリ
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いつもいつも拍手&コメントありがとうございます。

10年前に書いたものがまだ残ってる(笑)
いまのパソコンにSSのデータは全部移せてよかったですよ。

陽一先生がクリスマス短編を書かれてたので、その続きみたいに書いてみました。

そういえば、もう一つ短編があったと思うんだけど、記憶はあるはずなのに、見かけないのはなんでだろう?
ワールドユース編の間にあった出来事っぽいんだけど、ワールドユース本戦が中止になるかもしれないってところで、合宿前に翼たち南葛出身者が練習してるような漫画があったと思うんだけど……気のせい?私の勘違い?
そこで岬くんが早苗ちゃんを早苗ちゃん呼びしてたし、新田くんが久美ちゃんにちょっかいかけてたような覚えがある。
え、これって陽一先生の漫画じゃない?いやでもキャプつばの同人誌は一冊も読んだことないので、陽一先生の漫画だと思ってるんだけど……

だから岬くんに「早苗ちゃん」呼びさせてるんだけどな。

SSは続きからです。


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【ここだけの話~メリークリスマス編~】
 
 
 
「よく降るね」
「ホントね。静岡でこんなに降るのって珍しいわよね」
 学校を出た翼と早苗は、早苗の家までの道を歩いていた。
「雪が降るとこんなに静かになるのね」
「うん。どうしてなんだろう?不思議だよね」
 街は相変わらず車は走っているし、人だって歩いている。
 それなのに、どこか静かだ。
「でも、ホワイトクリスマスね。初めてだわ」
「そうだっけ?」
「翼くんはクリスマスも正月もないから気づいてないだけでしょう?」
「えっ、そんなことないよ。クリスマスも正月も楽しみにしてるよ。プレゼントとか、お年玉とか」
「アハハ、もらえるものばっかりじゃない」
「そうともいうね」
 軽口を叩きあいながらも話の内容は自然とサッカーの話題に移る。石崎たちが聞いていたらちっとも色気がないと言われそうだが、二人ともこれで十分楽しいのである。
 
 そのうちに早苗の家までついてしまった。
「それじゃ、今日は本当にありがとう」
「ううん。…あ、翼くん、傘を…私のじゃなんだし、お父さんのを持ってくるから」
「いいよ。大丈夫。ドリブルしながら帰るから」
「でも、雪があるのよ、転んだら危ないわ」
「平気平気。おれがバランス感覚いいの知ってるだろ」
 どんなぬかるんだグラウンドでも自分一人なら転んだりすることはない。
 わかってはいるのだが、早苗はなんとなく離れがたい気分になっていて、無意識に引きとめようとしていたのかもしれない。
 翼を早く帰してあげないと風邪をひいてしまうかもしれないのに。
 だが、翼も何かを感じたのか「あのさ」と口を開いた。
 傘の下で早苗を見下ろす。
「石崎くんたちが言ってたけど、二年参り、行くよね?」
「ええ。石崎くんなんて『神頼み』するしかないって言ってるけど」
 石崎の成績はあまりよくない。選り好みしなければ入れる高校はあるのだが、南葛高校は学力のレベルもそれなりに高いので受験前までに合格判定が出るかどうかわからないのだ。
「大丈夫だよ。石崎くんなら。あれでけっこう努力家だからね」
「うん」
「早苗ちゃんは成績いいから大丈夫だよね」
「え?まあ、なんとか。一応合格圏内だから。でも」
「油断は禁物」
 声が揃ってしまい、顔を見合わせて笑う。
「集合時間とかは聞いてる?」
「うん、一応十一時に学校前って聞いてるけど…」
「それでね、早苗ちゃんはおれが迎えにいくから、十時半くらいには出られるようにしておいて」
「え?あ、そうなの?」
「みんなが気をつかってくれてるみたいだよ。西本さんと久美ちゃんは石崎くんたちが迎えに行くからって」
「もう…言い出しっぺは絶対に石崎くんね」
 そんなに気をつかわなくていいのにと思ってしまう。みんなで行動するときは特に。
「そう?おれは嬉しいけど」
「え?」
 さりげなく言われた一言に思わず問うように顔をあげると、柔らかいものが唇に触れた。
 
 ?
 
「今日はおればっかりクリスマスプレゼントもらってる気がするね」
 翼は手に持っていた傘の柄を早苗に手渡すとボールを蹴って踵を返す。
「それじゃ、大晦日、迎えに行くから」
「あ、はい」
 早苗は遠ざかっていく翼の背中を見送ってからのろのろと家に入った。
 
「あら、早苗、おかえりなさい。遅かったわね」
「うん…」
「まあ!どうしたの、早苗!顔が真っ赤よ!熱でもあるんじゃないの?」
「うん…」
 母親の声を背中に受けながら階段を上がって自室に入る。
 部屋の明かりのスイッチを入れて、エアコンの暖房にもスイッチも入れる。
 そこまではいつもの行動だった。
 
 外にいたせいかな。
 ちょっと冷たかったけど、でも柔らかかったなぁ。
 翼くんて、意外と睫毛長いよね……
 
「ええ…?」
 早苗はコートを脱ぐこともなくへたりこんだ。
 両手で口を抑える。
 
「えっ!?」
 
 
「うそぉ…」
 
 
――おればっかりクリスマスプレゼント…
 
 
 そんなこと、ないかも……私のほうがたくさんもらっちゃったよ。
 
 翼くん。
 
 
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