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管理人の日々徒然&ジャンルごった煮二次創作SSアリ
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ひたすら書きまくっている私。

読みたいから書くだけの話で、自己満足のため。

原作のイメージは崩さないように、というのがなかなか難しい。

小説の二次創作をするときは、つい原作に沿った内容で、文章も原作に近い感じで書きたくなるので、原作者さんによっては文章がすごく独特というか、描写が読みなれないものだとすごく難しくなるんだ。
「図書館戦争」のときもそうだったけど、「86」もそうなんだよな~。
慣れるまでが大変なんだけど。

原作の行間を埋めるような感じで書いているので、今回は3巻終章手前あたりかな。


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 寒さの緩むリュストカマー基地。
 暖かな日差しが照らす基地内は、このたび新設された第八六独立機動打撃群の本拠地となることもあり、その準備で忙しなかったのだが、ようやく落ち着いてきたところだ。
 あとは実働部隊である機甲班の総指揮官を出迎えるだけとなった格納庫は、いまだフェルドレスが格納されておらずガランとしている。
 ライデンはその格納庫の入り口そばでアサルトライフルを整備しているシンを通りがかりに見つけた。
「何やってんだ?」
「見てわからないのか?」
 何の感情ものっていないその声音はいつものことで、ライデンはこの野郎と思う。
「アサルトライフルを整備してんのはわかるんだよ。だから、それをどうすんだって聞いてんだろ」
「狩りに行く」
 端的に述べたその言葉で、基地の裏にある広大な森に食料となる肉を捕りに行くと理解した。
 ギアーデ連邦の食糧事情は共和国のそれよりはるかにマシだ。
 ある程度は自給できているので、野菜や果物も手に入る。
 肉に関しては八六区にいたころも狩りによって手に入れることはできていたが、そのあたりは連邦でも変わらない。
 基地の裏手にある森は広大で、狩り過ぎなければ新鮮な肉が手に入る。
「珍しいな、お前が進んで捕りに行こうとするなんて」
「そうか?」
 血赤の瞳が見上げてくる。
 半年前と比べてずいぶんと落ち着いた穏やかな眼差し。
 あの時はずいぶんと気を揉んだものだが、とその時のことを思い返して、ああそうか、と気付く。
「あー、長いこと食ってねえだろうからな、まともな肉」
「……………ああ」
 シンは気が付いているだろうか。
 自身が柔らかな笑みを浮かべていることに。
 もうすぐ着任してくる機動打撃群の総指揮官に食べさせてやりたいと思っているのだ。
「待て、俺も行く」
「当たり前だ。手が空いてる奴全員集めろ」
「大尉ー、こっちは準備できましたぜ」
 シンが総隊長となるとともに打撃群第一戦隊〈スピアヘッド戦隊〉の戦隊長を兼ねることとなり、ノルトリヒト戦隊の隊長となったベルノルトがその傭兵たちを引き連れてやってくる。
「ちょっと待て! セオたちにも声かけるから!」
 ライデンは慌てて〈知覚同調〉を繋ぐ。
 基地内のあちこちにいた仲間たちが慌てて駆けつけてくる。
「シン~、そういうことは前もって言っておいてよね!」
「悪い」
 全く悪びれた様子もなく言ったシンにセオたちは不満たらたらだ。
「悪いなんて思ってないくせに」
「僕ら別に行かないなんて言ってないんだから」
「ねえ、鹿だけじゃなくて、雉とかもいる?」
 クレナが首を傾げる。
「そうだな。そっちは任せていいか?」
「……うん!」
 パッと嬉しそうに頷くクレナの横で、アンジュは思案気に森のほうを見やった。
「きのこもあるといいかしら」
「ああ。フレデリカは嫌がるだろうけど」
「じゃあ肉のほうはシンたちに任せるよ。僕はアンジュときのこ担当ね」
 セオだってライフルは扱えるけど、シンやクレナのように狙撃は巧くない。役割分担は大切だろう。
「俺らは先に行ってますよー」
「ああ」
 シンたちがあれこれと話し合っているうちに、ベルノルトたちは連れ立って歩いていく。
 
「ファイド」
「ぴ」
 シンに呼ばれた〈スカベンジャー〉が近寄ってくる。
「森まで行くぞ」
「ぴっ」
 ファイドの上に乗ったシンたちは青空の下をのんびりと森に向かう。
「好き嫌いないといいね、少佐」
「俺らの年くらいなら、肉だって食ったことあんだろ」
 クレナが空を見上げながら言うと、ライデンが苦笑する。
「そうなんだけど、フレデリカがきのこ嫌いでしょ。少佐ってお嬢様っぽい気がするから、好き嫌い激しかったら嫌だなって」
「育ちがよければ好き嫌いが激しいってわけでもないんじゃない? むしろお嬢様だからこそ好き嫌いしちゃ駄目って言われて育ったかもしれないし」
「そっか」
「ていうか、クレナ、少佐じゃなくて、大佐だよ。今度は」
「そうだった。というかつい癖で」
「大佐かー、まあ打撃群の総指揮官なんだから大佐くらいの階級ないといけないんだろうけどな。シンの話だと大尉に降格になってたみたいだけど、下がったり上がったり忙しいな」
 苦笑交じりのライデンの言葉を聞きながらシンは八六区でのやり取りを思い出す。
 確か、愛称はレーナだった。
 レーナと呼んでくれていいと言っていたが、シンたちはあえて呼ばなかった。
 もし、直接会ったら……彼女は、今度はどう言ってくるだろうか。
 
 森に到着すると、皆で手分けをして獲物を探す。
 ある程度距離をとらねば、仲間を誤射してもいけない。
「鹿がいいよな、あれは美味い」
「そうだな。量としては猪も欲しいけど」
「あとはクレナが」
 言いかけたライデンをシンが手で制す。
 少し先に牝鹿がいた。
 シンが無造作にライフルを構えて一発。
「………あっさり仕留めやがんなあ」
 弾丸は脳天にしっかりと打ち込まれていた。
「ファイド」
 血抜きだけは先にしておいて、シンが従者を呼びつけるとコンテナに乗せる。
「っと」
 ガサリ、と落ち葉を踏みつける音に振り返ると、子鹿がいた。
 ライフルを構えようとしたライデンをシンが止める。
「待て」
「なんだよ」
「まだ子どもだ」
「ん? ……やめとくか」
 八六区では遠慮なく狩っていたが、放っておけば成長するし、その時に狩ってしまえばいいだろう。
「あんまり狩りすぎて獲物がいなくなっても困るもんな」
「……それもそうだけど、子どもを撃ったなんていったら、泣くかもしれない」
「ん? ………………ぶははははははっ!」
 腹を抱えて笑い出したライデンをシンは睨みつける。
「何がおかしい」
「い…………いや、だって、おま……」
 ひーひー言いながらなんとか笑いをおさめようとするのだが、シンが何を思ってそんなことを言ったのかと思うと止められない。
 ひとしきり笑い終えると、完全に機嫌を損ねたシンが睥睨してくる。
「気は済んだのか」
「ああ、済んだ済んだ」
 歩き始めたシンを追ってライデンも足を動かす。
 あのシンがねえ……と、再びこみあげてくる笑いをなんとか堪える。
 あれほど他人に関心がなく、誰が何をしようと何を言おうと気にもしないシンがたった一人を気にかけて、気をつかう。
 これまでにはありえなかったことだ。
 
 要員総出で狩りをしたこともあり、それなりに収穫はあった。
「これなら食堂の奴らも文句ねえでしょう」
「そうだな」
 森を流れる小川近くで収穫した獲物を捌き、必要な部分だけをファイドのコンテナに載せる。
「しかしまあ、俺たちはともかく、大尉殿たちも手馴れてますね」
 手際よく血抜きをし、皮を剥ぎ、内臓を取り出すという解体作業を見ていたベルノルトたちは呆気にとられる。
「食べられるものはなんでも食べてたからなあ、俺たち」
「そういう点では壁の中よりも食糧事情は充実してたよ」
 必要がない部分は森へ還す。そうすれば森に済む動物たちが処分するだろう。
 
 
 
 基地へと帰る道すがら、ベルノルトは枯れ葉が堆積する森の中をカサカサと音を立てながら歩くシンに、さすがに足音を消すことはできないのだなと妙な感心をしながら口を開く。
「喜んでくれるといいっすねえ」
「…………そうだな」
 気のない感じの返答ではあったが、横目で見ると微かに笑みを浮かべている。
 げえ、と砂糖を口に突っ込まれたようななんとも言えない感情が湧き上がるが、シンはそんなベルノルトに気づかず前を向いたまま訊ねてくる。
「ベルノルトはいいのか? 報復に参加しなくて」
「しませんよ。あんた何言ってんすか。……大尉たちが報復しないっつってんのに、なんで俺たちが率先してやんなきゃなんねーんすか? まあ、気がおさまらねえって奴らの鬱憤はどこかで発散させてやんなきゃ、暴発されても困りますからね。大佐殿には何の責任もねーけど、共和国を代表して受けてもらうしかねーすよ」
 
 
 共和国から若い女性の士官が総指揮官としてやってくると聞いた時の連邦軍人の反応ははっきり言って悪かった。
 反対意見や不満を訴えてくる者が多く、シンはなんとか抑えようとしたが、グレーテやベルノルトに止められたのだ。
 上から押さえつけるのは簡単だが、いつか暴発すると。
 しかも着任してくるのは若い女性士官なのだ。
 四六時中そばにいるわけにもいかない。もしシンがいないところで何かあったらどうするつもりなのかとも言われた。
 
―――大尉たちが思いもよらねえことをしでかす奴らだっているんすよ
―――暴力っていうのはね、殴る、蹴るだけじゃないの。女性にとっては、それ以上に酷い暴力があるのよ。死んだほうがマシって思うほどのね
 
 そう言われて自分よりも人生経験の豊富な大人たちが何を危惧しているのかようやく気づいた。
 自分の至らなさに落ち込みかけたが、グレーテは微笑んで励ますように言った。
 
―――貴方たちは守りたいと思っているのね。だったら、ちゃんと守ってあげなさい。貴方たちが彼女を認めて受け入れる姿勢を見せれば、周りの目も変わってくると思うわ
 
「とにかく、俺らがそういう奴らはちゃんと監視しますんで、大尉は大佐を守るほうに専念してくださいや。大切な総指揮官殿なんでしょ?」
「ああ」
 即返って来た返事に呆気にとられたベルノルトは一瞬立ち止まる。
 その肩をポン、とライデンが叩いて歩いていく。
「ま、そういうことだから」
「頼むねー、ベルノルト」
「シン君が本気で怒ったら、どうなるかわかってるわよね?」
「シンだけじゃないから。何かあったらあたしらも何するかわかんないからね」
 セオ、アンジュ、クレナが続いて肩を叩いていく。
 
 
「……………………………………こりゃあ、責任重大だ」
 
 
 
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