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管理人の日々徒然&ジャンルごった煮二次創作SSアリ
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うーわー、もう何年も前に書いた孫ssだよ(汗)
途中でうっかり放置して忘れてたよ。

何を書きたかったのか思い出せないので、途中でぶっちぎれてますけど載せときますね~。
一応、昌彰ですよ。

続きから。

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たぶん、「天狐編」のあとに書いたんだと思う。

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「おじい様。失礼いたします」
「昌親か。入りなさい」
「はい」
 安倍昌親は実家である安倍の邸にやってきていた。
 大した用事があったわけではない。届けものを持ってきただけなのだが、まずは祖父に挨拶をと思いやってきたのだ。父吉昌はまだ帰ってきていない。
 文机で書き物をしていたらしい祖父安倍晴明は筆を置いて、体ごとこちらを向いた。
 簀子から室内に入った昌親は近くに生じた神気を感じて視線を向ける。
「どうぞ、昌親様」
 十二神将天一が昌親の前に円座を出す。
「ありがとう」
 礼を言ってから昌親は腰を落ち着けた。
「久しぶりじゃな」
「はい。おじい様もお元気そうでなによりです」
「ここのところは何もないからの。わしとしては楽でいいのう」
「ええ、本当に」
 妖の類が起こす騒動については最近はなりをひそめている。
 というのも、年の離れた弟が晴明に命じられて退治しているらしい。
 以前はよく自分や兄が命じられていたことを弟がやらされていることは知っていたが、兄弟中ずば抜けた力を持っているのだからあまり心配はしていない。傍には最も頼りになる護り手もいることだし。
 弟がてこずるような大物はいないということなので、祖父も自分が出張るようなことはしないのだろう。
 一度は倒れて危篤状態になったことがあるとは思えないほどに元気だ。
「で、今日はどうした?何かあったのか?」
「いえ、今日は届け物があったのでそれを持ってきただけです。昌浩が干し杏が好きだと聞いていたので、うちでももらったのでおすそわけにと思いまして」
「干し杏か。そういえば、そんなことを言っていたな」
 彰子がたまに市に出かけて行った時に買ってきたものを二人で仲良く食べているようだ。
「ええ。先日、藤花殿と市で出会いまして、そのときに聞いたものですから」
 藤花とは昌親やその兄成親が彰子のことを指していう名だ。藤原の姫というのを遠まわしに言っているのである。
「そういえば、昌浩には今日みやげを持って行くと陰陽寮で言っておいたのですが…」
「ん?昌浩か?そういえばまだ帰ってこんようだの」
「そうでしたか。ちょっと早く来すぎましたね」
 昌浩に伝えておけば母や祖父に報せておいてくれるだろうと思っていたのだが、自分のほうが先についてしまったのでは意味がなかったなと苦笑する。
 ちょうどそこへ元気な声が聞こえてきた。
「ただいまー!」
「噂をすればなんとやらじゃな」
「そのようですね。ではちょっと昌浩の顔でも見てきます。それと藤花殿にもご挨拶を」
「うむ」
 昌親は晴明の部屋を出て弟の部屋にむかった。

「昌浩、私だよ」
「あ、昌親兄上。もう来られてたんですか」
 一応妻戸を叩いて外から声をかけると中から応答があった。着替えているのだろうとは思うが、男同士で自分の弟でもあるので遠慮なく妻戸を開けて足を踏み入れた。
「ずいぶんと遅かったね……と」
 思わず立ち止まる。
 そこには弟だけでなく、もう一人の人影が見えた。
「昌親様、いらっしゃいませ」
「これは藤花殿…」
 にこやかに微笑み床に手をついて一礼した少女に昌親も頭を下げる。だが、その瞬間、びしっと固まった。

「はい、昌浩」
「ありがとう」
 昌親はその場で固まっていた。
 兄や弟よりもよほど冷静沈着な昌親でも目の前の光景に驚くほかなかった。
 昌浩は今まで大内裏で仕事していたのだから直衣に烏帽子姿だったはず。指貫はそのままなので、帰宅すれば上の狩衣に着替えてしまえば終わりだ。
 その昌浩はすでに烏帽子をとって髷を解いて首の後ろで括り、直衣を脱いで衣と指貫だけになっていた。
 そこへ彰子が唐櫃から狩衣を出して手渡すとそれを身につける。
 そして彰子は昌浩が脱いだ直衣を丁寧にたたんでいた。
「…」
 目の前の光景だけを見ると、夫の世話をかいがいしくやいている妻の図ではないか。
 いや、自分が自宅に帰っても同じことをしているはずなのだが、弟はまだ結婚はしていないはず。ましてや、彰子は大貴族の姫である。そんなことをさせてもいいのだろうか。
 真面目な昌親は考え込んでしまった。
「おい、昌親。昌親ー?」
 それを昌浩をはさんで昌親の向かい側にいた物の怪が近寄ってくる。だが、必要以上には近づかない。
「昌親、何を呆けとるんだ?」
「あ…」
 ようやく気づいて物の怪を見返す。
 夕焼け色の瞳が瞬きして、首を傾げるその姿だけを見るならば、誰がこの物の怪を十二神将最強の騰蛇だと思うだろうか。
「いえ、なんでもありません」
「そうか?まあ座れ」
「はい」
 物の怪がぺしぺしと床を叩くので言われるがままに座り、弟が着替え終わるのを待つ。
 すると物の怪は少し離れたところにお座りの体勢をとると、昌親にだけ聞こえるように言った。
「あまり気にするな。二人とも無意識なんだ」
「無意識、ですか?」
「ああ。彰子はそれが当然と思っているし、昌浩も気にしてないようだな」
「気にしたほうがよいと思うのですが」
 少なくともあと数年は。
「だが、それを指摘すると二人とも意識しまくるぞ? 特に昌浩の反応が面白そうではあるな」
 真っ白な尻尾を左右に揺らしながら面白そうに目を細める物の怪に、昌親は「はあ」と肯定ともとれないような返事を返した。
 この物の怪は本当に十二神将最強で最凶の闘将なのだろうか。

 

 

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