管理人の日々徒然&ジャンルごった煮二次創作SSアリ
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本日二回目です。
この前から守龍ワールドを読み返していたら、突然書きたくなりました。
今日突貫で書いて5時間くらいかかりましたけど(苦笑)
思いっきり久しぶりに「リダーロイス」シリーズのSSを書いてみました。
「リダーロイス」シリーズって何?という人はスルーしてくださってかまいません。
なにしろ約20年前くらいの作品ですからね(汗)
確か絶版になってると思う。(私は全部初版から持ってますが)
私と同年代の方ならわかる人もいるかもしれないけども。
書きたいものを書きたいだけ書くのが私なので、読んでもいいぞ~という人は続きからお読みください。
この前から守龍ワールドを読み返していたら、突然書きたくなりました。
今日突貫で書いて5時間くらいかかりましたけど(苦笑)
思いっきり久しぶりに「リダーロイス」シリーズのSSを書いてみました。
「リダーロイス」シリーズって何?という人はスルーしてくださってかまいません。
なにしろ約20年前くらいの作品ですからね(汗)
確か絶版になってると思う。(私は全部初版から持ってますが)
私と同年代の方ならわかる人もいるかもしれないけども。
書きたいものを書きたいだけ書くのが私なので、読んでもいいぞ~という人は続きからお読みください。
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【夏の逢瀬は密やかに】
季節は夏。
ここミズベ国も水龍月も末になると、気温はずいぶんと高くなる。
地球界の日本と似たような気候なのだが、国を守護する龍がいるためか湿度が低く、夕香里にとっては過ごしやすい環境といえた。
カレドナ湖に面した庭を散策していると、時おり湖を渡って吹いてくる風が涼しくて心地よく感じる。
リダーロイスがミズベ国の王として即位して間もない頃だ。
夕香里は大学に入って初めて迎えた夏休みに、前々から約束していた通りにミズベ国へ遊びに来ていた。
つい先月も戴冠式に出席するために訪れたばかりなのだが、戴冠式やその後の祝宴などのおかげでゆっくりできず、また夕香里が通う大学もまだ休み前ということもあり、早々にミズベ国から帰ったのだった。
今度こそ大学が夏休みに入り、夕香里は戴冠式のときよりも長い期間滞在する予定だった。
二日前にいつもの通り魔法使いヤチに連れられてやってきた夕香里だったが、今日は珍しくも午後から一人でいた。
王の客人として扱われる彼女はいつもであれば王姉フロルメイや風魔鳥の少女が一緒にいるはずだが、二人は各々用事があるらしく、夕香里を一人にすることを詫びたのは昼食前のことだ。
少し寂しいとは思ったが、フロルメイには王族としての仕事があるのかもしれないし、風魔鳥の真白は時々ではあるがミズベの守龍のお使いを頼まれたりすることもあるのだと言っていた。
ミズベの守龍は水龍なので彼に仕える精霊は水の属性のものばかりだったが、主として仕えるのではないにしろ、至高の存在であり魔力の根源たる龍の頼みごとを引き受けるのは精霊として名誉なことらしい。
そういうわけで夕食までの時間を一人で過ごすことになったのだが、退屈はしなかった。
久しぶりに訪れたミズベの景色をせっかくだから一人で堪能しようと思ったのだ。
城の中も立ち入ってはいけない場所はあったが、自由に歩きまわることは許されていたので城で働く人たちの仕事を邪魔しないように見て回った。
そして庭に出てくると湖の縁に立って周囲を見回した。
カレドナ湖には人を引きずりこむような性悪な精霊はいないとわかっているが、用心にこしたことはない。落ちたらこぞって心配されるだろうし、この城の主にいたっては最後には怒り出すに決まっているからだ。
用心しながら軽く背伸びして湖を眺める。
運がよければ湖に住んでいるらしい人魚の姿でも見えるかと思ったけれど、精霊はきまぐれなのでそう簡単に姿は拝めないものだ。
ちょっと残念には思ったけれど歩き回って少し疲れたのもあって、湖が見える木陰で休もうとしたところ、突然樹から出てきた腕に体を捕らえられた。
「…っ!」
あまりにも驚いたため、悲鳴が声にならずに息を飲み、体が硬直した。
「ごめんごめん。驚いた?」
耳のすぐ上から聞こえた声が聞き慣れたものであることに安堵して力が抜ける。
「も、もうっ! 驚くに決まってるでしょう!? びっくりしたんだから、本当に!」
気が抜けた拍子に涙目になった夕香里が詰め寄ったのは、ミズベ国王リダーロイスだった。
周囲に公表はしていないが、お互いを想いあう仲で、俗に言う恋人といわれる存在だ。
しかし二人と親しい人たちにとっては周知の事実となっていた。
というのも、お互いを「夕香里」、「リダー」と親しげに呼び合っていたり、夕香里が左手の薬指に星紅玉の指輪をつけているのを目ざとい伝承者が見つけたからだった。
星紅玉の指輪はリダーロイスがとても大事にしていたもので、それを贈られた相手が彼にとって特別な存在だということを示している。
それを見た王の姉姫や伝承者、剣士たちは二人の仲が進展しているようだと密かに喜んでいたところだ。
捕らえていた腕をほどいて夕香里と正面から向き合ったリダーロイスは苦笑いして謝った。
「ちょうど仕事が一段落ついたところで窓から君が一人でいるのが見えたから追いかけてきたんだよ。まさかそんなにびっくりするとは思わなかったんだ。本当にごめん」
そう言って足元に置いていたかごを取り上げて見せた。
「お菓子とお茶も持ってきたんだよ。これで許してよ」
ふくれっ面をしていた夕香里はかごを見てからすました顔で言った。
「まあいいわ。お菓子に免じて許してあげる」
本当は「追いかけてきた」という言葉ですっかり機嫌はよくなっていたのだが、もう少し怒ったフリをしていなければまた同じことをされてはかなわない。
「じゃあここでお茶にしよう」
リダーロイスに手を引かれて木陰のある木の根元に湖に向かって腰を降ろした。
二人のそばにはいつも誰かがいるので二人きりになれる時間がなかったために、こうして話すのはずいぶんと久しぶりだった。
お茶を飲み終えてリダーロイスがやっと気づいたというように訊ねた。
「そういえば真白はどうしたの? メイとも一緒じゃないみたいだし」
「真白は守龍さんのお使いで出かけたわ。メイさんは準備がどうのって言ってたけど……何の準備なのかしら?」
「準備……? ああ、そうか……って、そんなに入念に準備が必要かな?」
リダーロイスは納得したように頷いたが、夕香里には何のことやらわからない。
それに気づいたリダーロイスは、少し考えたがまあいいいかと言って話しだした。
「本当は今日の夕食のときに言おうと思ってたんだけど、明後日から二泊三日の予定で君をうちの別荘に招待することになったからそのつもりでいて欲しいんだ。メイの言ってた準備ってそのためのものだと思うんだけど」
「えっ、そうなの? やだ、もう、どうして早く言ってくれないの。支度しなきゃ」
「大丈夫だよ。たいていのものは向こうに揃ってるから。君は着替えと必要なものだけ持っていけばいいよ。出発は明後日なんだから、明日一日あれば間に合うだろう? 真白にも手伝ってもらえばいいよ」
「う、ん…それもそうね。……ねえ、別荘にはリダーも一緒に行けるのよね?」
「もちろん! そのためにずっと予定を詰めてたんだからね。ただ、時間短縮のためにレンダルクの魔法で送り迎えしてもらうことになるけどさ。君とオレと、メイだろ、母上と……メイが行くならセインも行くだろうし、あと真白だろ? 二日目には青の宝国に行ってるラシェンが帰りに合流できるって今朝連絡がきたよ」
「ハイレオンさんやヤチさんは?」
「うーん…他はちょっと都合がつかないみたいなんだよ」
「そっかあ……みんなで一緒に行ければ楽しかったかもしれないのにね」
心底残念そうに言った夕香里を見て、リダーロイスはちょっとだけ唇を尖らせた。
「オレは逆。できれば君と二人きりがよかったな」
「え?」
リダーロイスは手を延ばして夕香里の手を軽く握った。
「でも、二人きりだと我慢できなくなるかもしれないから」
そう言って軽く啄ばむような口づけを何度か繰り返してようやく離れるとイタズラっぽく笑う。
「今はこれだけで我慢しておくよ」
銀と緑が混じった瞳で艶っぽく見つめられ、夕香里はその言葉の意味をようやく理解して顔が真っ赤になった。
そこへ、「陛下、どこにいらっしゃいますか」と誰かが探す声が聞こえた。
「ああ、ちょっと休憩長くなりすぎたかな。それじゃあオレは行くよ」
「う、うん、お仕事がんばって」
「うん」
リダーロイスは微笑むと夕香里の頬に口づけて立ち上がった。
「また夕食でね」
「う、うん」
ぎくしゃくと頷く夕香里に軽く手を振ってリダーロイスは歩いていった。
姿が見えなくなるまで見送った夕香里は熱くなった頬を両手で押さえた。
「絶対に積極的になってる気がするっ」
真面目で勇敢で優しくて、家臣思いで家族思いな国王様と思っていたのだが、一人の男性として見ると恋愛に関して意外にも積極的なように思えた。
もしかすると自分が奥手なだけかもしれないが、そんな自分をちゃんと尊重してくれて大事にしてくれているのもわかる。
一歩も二歩も先を歩いている大人のようで負けているような気分になるのだった。
しかし、リダーロイスのほうでも会うたびに綺麗になっていく夕香里を見るたびに焦ったり、頭が上がらないと思っていることには、当然ながら気づいていないのだった。
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リダーロイスの戴冠式後の話にしてみました。
まだ夏ですからこの時点では二人の婚約は成立してませんね。
二人が婚約するときの話とかも書いてみたいです。
【夏の逢瀬は密やかに】
季節は夏。
ここミズベ国も水龍月も末になると、気温はずいぶんと高くなる。
地球界の日本と似たような気候なのだが、国を守護する龍がいるためか湿度が低く、夕香里にとっては過ごしやすい環境といえた。
カレドナ湖に面した庭を散策していると、時おり湖を渡って吹いてくる風が涼しくて心地よく感じる。
リダーロイスがミズベ国の王として即位して間もない頃だ。
夕香里は大学に入って初めて迎えた夏休みに、前々から約束していた通りにミズベ国へ遊びに来ていた。
つい先月も戴冠式に出席するために訪れたばかりなのだが、戴冠式やその後の祝宴などのおかげでゆっくりできず、また夕香里が通う大学もまだ休み前ということもあり、早々にミズベ国から帰ったのだった。
今度こそ大学が夏休みに入り、夕香里は戴冠式のときよりも長い期間滞在する予定だった。
二日前にいつもの通り魔法使いヤチに連れられてやってきた夕香里だったが、今日は珍しくも午後から一人でいた。
王の客人として扱われる彼女はいつもであれば王姉フロルメイや風魔鳥の少女が一緒にいるはずだが、二人は各々用事があるらしく、夕香里を一人にすることを詫びたのは昼食前のことだ。
少し寂しいとは思ったが、フロルメイには王族としての仕事があるのかもしれないし、風魔鳥の真白は時々ではあるがミズベの守龍のお使いを頼まれたりすることもあるのだと言っていた。
ミズベの守龍は水龍なので彼に仕える精霊は水の属性のものばかりだったが、主として仕えるのではないにしろ、至高の存在であり魔力の根源たる龍の頼みごとを引き受けるのは精霊として名誉なことらしい。
そういうわけで夕食までの時間を一人で過ごすことになったのだが、退屈はしなかった。
久しぶりに訪れたミズベの景色をせっかくだから一人で堪能しようと思ったのだ。
城の中も立ち入ってはいけない場所はあったが、自由に歩きまわることは許されていたので城で働く人たちの仕事を邪魔しないように見て回った。
そして庭に出てくると湖の縁に立って周囲を見回した。
カレドナ湖には人を引きずりこむような性悪な精霊はいないとわかっているが、用心にこしたことはない。落ちたらこぞって心配されるだろうし、この城の主にいたっては最後には怒り出すに決まっているからだ。
用心しながら軽く背伸びして湖を眺める。
運がよければ湖に住んでいるらしい人魚の姿でも見えるかと思ったけれど、精霊はきまぐれなのでそう簡単に姿は拝めないものだ。
ちょっと残念には思ったけれど歩き回って少し疲れたのもあって、湖が見える木陰で休もうとしたところ、突然樹から出てきた腕に体を捕らえられた。
「…っ!」
あまりにも驚いたため、悲鳴が声にならずに息を飲み、体が硬直した。
「ごめんごめん。驚いた?」
耳のすぐ上から聞こえた声が聞き慣れたものであることに安堵して力が抜ける。
「も、もうっ! 驚くに決まってるでしょう!? びっくりしたんだから、本当に!」
気が抜けた拍子に涙目になった夕香里が詰め寄ったのは、ミズベ国王リダーロイスだった。
周囲に公表はしていないが、お互いを想いあう仲で、俗に言う恋人といわれる存在だ。
しかし二人と親しい人たちにとっては周知の事実となっていた。
というのも、お互いを「夕香里」、「リダー」と親しげに呼び合っていたり、夕香里が左手の薬指に星紅玉の指輪をつけているのを目ざとい伝承者が見つけたからだった。
星紅玉の指輪はリダーロイスがとても大事にしていたもので、それを贈られた相手が彼にとって特別な存在だということを示している。
それを見た王の姉姫や伝承者、剣士たちは二人の仲が進展しているようだと密かに喜んでいたところだ。
捕らえていた腕をほどいて夕香里と正面から向き合ったリダーロイスは苦笑いして謝った。
「ちょうど仕事が一段落ついたところで窓から君が一人でいるのが見えたから追いかけてきたんだよ。まさかそんなにびっくりするとは思わなかったんだ。本当にごめん」
そう言って足元に置いていたかごを取り上げて見せた。
「お菓子とお茶も持ってきたんだよ。これで許してよ」
ふくれっ面をしていた夕香里はかごを見てからすました顔で言った。
「まあいいわ。お菓子に免じて許してあげる」
本当は「追いかけてきた」という言葉ですっかり機嫌はよくなっていたのだが、もう少し怒ったフリをしていなければまた同じことをされてはかなわない。
「じゃあここでお茶にしよう」
リダーロイスに手を引かれて木陰のある木の根元に湖に向かって腰を降ろした。
二人のそばにはいつも誰かがいるので二人きりになれる時間がなかったために、こうして話すのはずいぶんと久しぶりだった。
お茶を飲み終えてリダーロイスがやっと気づいたというように訊ねた。
「そういえば真白はどうしたの? メイとも一緒じゃないみたいだし」
「真白は守龍さんのお使いで出かけたわ。メイさんは準備がどうのって言ってたけど……何の準備なのかしら?」
「準備……? ああ、そうか……って、そんなに入念に準備が必要かな?」
リダーロイスは納得したように頷いたが、夕香里には何のことやらわからない。
それに気づいたリダーロイスは、少し考えたがまあいいいかと言って話しだした。
「本当は今日の夕食のときに言おうと思ってたんだけど、明後日から二泊三日の予定で君をうちの別荘に招待することになったからそのつもりでいて欲しいんだ。メイの言ってた準備ってそのためのものだと思うんだけど」
「えっ、そうなの? やだ、もう、どうして早く言ってくれないの。支度しなきゃ」
「大丈夫だよ。たいていのものは向こうに揃ってるから。君は着替えと必要なものだけ持っていけばいいよ。出発は明後日なんだから、明日一日あれば間に合うだろう? 真白にも手伝ってもらえばいいよ」
「う、ん…それもそうね。……ねえ、別荘にはリダーも一緒に行けるのよね?」
「もちろん! そのためにずっと予定を詰めてたんだからね。ただ、時間短縮のためにレンダルクの魔法で送り迎えしてもらうことになるけどさ。君とオレと、メイだろ、母上と……メイが行くならセインも行くだろうし、あと真白だろ? 二日目には青の宝国に行ってるラシェンが帰りに合流できるって今朝連絡がきたよ」
「ハイレオンさんやヤチさんは?」
「うーん…他はちょっと都合がつかないみたいなんだよ」
「そっかあ……みんなで一緒に行ければ楽しかったかもしれないのにね」
心底残念そうに言った夕香里を見て、リダーロイスはちょっとだけ唇を尖らせた。
「オレは逆。できれば君と二人きりがよかったな」
「え?」
リダーロイスは手を延ばして夕香里の手を軽く握った。
「でも、二人きりだと我慢できなくなるかもしれないから」
そう言って軽く啄ばむような口づけを何度か繰り返してようやく離れるとイタズラっぽく笑う。
「今はこれだけで我慢しておくよ」
銀と緑が混じった瞳で艶っぽく見つめられ、夕香里はその言葉の意味をようやく理解して顔が真っ赤になった。
そこへ、「陛下、どこにいらっしゃいますか」と誰かが探す声が聞こえた。
「ああ、ちょっと休憩長くなりすぎたかな。それじゃあオレは行くよ」
「う、うん、お仕事がんばって」
「うん」
リダーロイスは微笑むと夕香里の頬に口づけて立ち上がった。
「また夕食でね」
「う、うん」
ぎくしゃくと頷く夕香里に軽く手を振ってリダーロイスは歩いていった。
姿が見えなくなるまで見送った夕香里は熱くなった頬を両手で押さえた。
「絶対に積極的になってる気がするっ」
真面目で勇敢で優しくて、家臣思いで家族思いな国王様と思っていたのだが、一人の男性として見ると恋愛に関して意外にも積極的なように思えた。
もしかすると自分が奥手なだけかもしれないが、そんな自分をちゃんと尊重してくれて大事にしてくれているのもわかる。
一歩も二歩も先を歩いている大人のようで負けているような気分になるのだった。
しかし、リダーロイスのほうでも会うたびに綺麗になっていく夕香里を見るたびに焦ったり、頭が上がらないと思っていることには、当然ながら気づいていないのだった。
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リダーロイスの戴冠式後の話にしてみました。
まだ夏ですからこの時点では二人の婚約は成立してませんね。
二人が婚約するときの話とかも書いてみたいです。
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