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管理人の日々徒然&ジャンルごった煮二次創作SSアリ
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BSプレミアムの某番組に、高橋陽一先生がご出演されてて、「キャプテン翼」の制作秘話などの話を聞いて懐かしくなって、ついついツバサナSsを探して読んでしまった(苦笑)
懐かしいなあ。
私も書いてたけど、ファイルの保存記録が10年前だった(汗)マジか。

C翼は私にとって、アニメとか漫画にはまるきっかけとなった作品なので、いまでもやっぱり好きだなあ。
あ、でも私の頭の中では、「ワールドユース編」で終わってますので。
それ以降はおまけっぽい感じで楽しんでます。(読んでるよ!ちゃんと読んでるけどね!)
そういえば、私の一押しキャラは松山くんです。
好きなカプはツバサナだけどね!松美も好き!

そんなわけで、昔サイトに公開してたSSをUPしようかなと思って。
ファイル見たら、結構な数書いてたわ。ピクシブにしようかと思ったけど、やっぱりこっちで。
なぜなら、タイトルがわからない作品があって、今更思い出せないし。

拍手


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 ワールドユース本戦に向け、全日本ユースチームは予定通り合宿に入った。
 葵新伍だけがいまだイタリアから戻ってきてはいないが、翼を中心として練習は始められていた。
 ある日の夕方、練習を終えたメンバーは合宿所の食堂で夕食をとっていた。
 翼がそろそろ食べ終えようとしていたとき、斜め前に座っていた新田瞬が「わっ」と声をあげてゴソゴソしていたかと思うと、ズボンのポケットから携帯電話をとりだす。
 なんだ、携帯か。と皆は再び食事に戻る。このご時世、携帯電話を持ってないメンバーなどいない。というか、逆にこのメンバーだと携帯電話を持ってないほうが不便で仕方ないだろう。
 新田はディスプレイを見ると眉根を寄せ、チラリと翼を見てから電話を耳にあてた。
「あ、もしもし?…どうしたんすか、先輩。おれに電話してくるなんて」
 話を聞くつもりはないのだが、近くで話しているために声が聞こえてくる。
 先輩というと、思わず南葛高校出身の岬や石崎たちを想像してしまい、隣に座る石崎に目をやる。すると、石崎も誰だかわからないのかヒョイと肩をすくめて首をかしげた。
「……マジっすか!?え、ホントに!?……あ、はいっ。お願いします!……恩に着ますよ、先輩!」
 やった!というようにガッツポーズをとる新田に、よほど嬉しいことがあったのだろうと察して微笑みが浮かぶ。いつも生意気だけれど、こういうところはまだまだ子どもっぽいのだなぁと思う。たった一つしか歳は違わないが。
「それじゃ今度会ったときに返します。…え?いやでも悪いっすよ。できるだけ早めに返しますから。……それにしてもよくわかりましたね。…え、あいつが?ったく、余計なこと言いやがって……あ、はい。すいません…」
 シュンとうなだれる新田を見て、誰だよ、電話の相手は。あいつにあんなことさせるってのはよほど強い立場のやつだぞ。などと皆が囁きあう。
 そのとき、南葛高出身勢が「あ」というような顔をした。
 石崎と岬が顔を見合わせる。
「はい、わかりました…あ、そうだ」
 新田は顔をあげると翼を見てニヤリと笑った。
「?」
 翼はなんだ?と首を傾げる。
「お礼に代わりましょうか?今、おれの目の前にいますから……いいからいいから」
 急に楽しそうになった新田は、翼に自分の携帯電話を差し出す。
「翼先輩」
「え、誰…」
 差し出されたので反射的に受け取ってしまったのだが、電話の相手は誰だというのだ。
 新田はニッと笑って爆弾発言した。
「早苗先輩です」
「え!?」
 電話から何か聞こえてくる。慌てて耳を当てると慌てたような聞きなれた声が聞こえてきた。
『新田くん!?新田くんてば!いいから!あなたのほうに用があったからで、別に私、翼くんには…』
「あの」
『!』
「ゴメン。新田じゃなくて」
 なんとなくムッとしてしまって声が低くなってしまった。
 気づいたときには遅かったのだが、電話向こうの早苗は慌てていた。
『翼くん!?あの、違うの。ちょっと新田くんに用があったからなのよ。翼くんに用があるなら、翼くんのほうにかけるからって…でも、私からかけると練習の邪魔かもしれないから…』
「そんなことないよ」
 反射的に答えたのだが、石崎たちがニヤニヤと笑いはじめたので、慌てて立ち上がる。ゴメン、ちょっと借りると新田に仕草で断っておいて廊下に出る。「どうぞー。いつまでもごゆっくり!」と背後から新田の声が聞こえた。「新田め、明日の練習覚えてろ」と食堂のドアを睨みつける。トップスピードで走らなきゃならないキラーパスを何本も送ってやる!
「早苗ちゃんって、新田とも仲が良かったんだね」
 廊下に出ると壁に寄りかかる。
 中学は別だったが、南葛高校の後輩だったということを思い出す。どうも高校三年間分のブランクは埋めがたい。
 早苗は苦笑まじりの声で言った。
『仲がいいっていうか…だって、サッカー部の後輩だもの。ちょっと生意気だけど、いい子よ。私たちの言うことはよく聞いてくれるし』
 というか、言うことを聞くのは早苗とゆかりに対してだけだろうという察しはついた。あの二人に逆らうのはなんとなく怖い。先ほどの新田の話し方からしてもそう思う。可愛がられているのだろうということにも気づいてしまった。
「新田に用って何?」
 個人的なことだから聞くのも悪いかと思ったのだが、つい口に出して聞いてしまった。すると早苗は気にしてないのか、あっさりと理由を口にした。
『今ね、駅前のCDショップにいるの。そこで新田くんが欲しがってたバンドのアルバムを見つけたから、欲しいかなと思ったのよ。合宿でろくに休めないでしょう?このバンドってマイナーで予約しないと手に入らないらしいの。予約もしそこねたって聞いてたから、今せっかく見つけたんだし、買っておいたほうがいいかと思って電話したの』
「ああ、なるほどね」
 よく気のつく早苗らしい行動だ。
 それにしたってそんな話をいつ聞いたんだか。翼はそうは思ったものの、聞くに聞けないような気がした。
 すると翼の心の声が聞こえたわけではないだろうが、早苗のほうから暴露したのだ。
『久美ちゃんがいつも気にしてたから、私もついつい探してたのよね。それで見つけちゃったから急いで電話したのよ』
「?なんで久美ちゃんが気にするの?」
『え?……ごめんね。それ以上は新田くんに聞いて。話してくれるかどうかはわからないけど』
 苦笑ぎみに早苗は言った。と言いつつも、早苗としては、翼のことだからそんなに気にしないだろうし、新田にも余計なことは聞かないだろうと思っていたらしいというのは後から聞いた話だ。
「じゃあ、なるべく早く返すとかっていうのは…」
『ああ、CDの代金よ。私が立て替えておくって言ったの』
「ふーん…じゃあ、そのお金はおれが新田から預かるよ」
『え?』
「次の休みのときにおれが早苗ちゃんに渡せばいいだろ?それでおれがCD預かって新田に渡せばいいよ」
『それじゃ…次のお休み…』
「うん、デートしようか」
 外出許可をもらえばいいだろう。合宿所は近いのだし。
 本当は休みの日も練習しようと思っていたのだが、なんとなく、早苗に会わなければならないと思ってしまった。
 でも、なんだかこの状況に甘えてしまいそうで怖いという気持ちもある。
 会おうと思えば会えるなんていうのは、いままで離れ離れになっていた反動がきて会わずにはいられなくなってしまうのではないだろうかと。
 だがこの場合は別だ。下手をすると新田が彼女に会いに出かけてしまうかもしれないではないか。
 それだけは阻止しなければならない。
『うん…嬉しい』
 柔らかく嬉しそうな声音にホッと息をつく。
 こうして我慢しつつも応援してくれる彼女のためにもワールドユース本戦は優勝したいと思う。
 そして…
「あ」
『何、どうしたの?』
「いや、なんでもない。思い出した事があるだけ」
『そう?じゃあ、そろそろ切るわね。その電話、新田くんのでしょ?返してあげなくちゃ。私もこれから家に帰るから』
「ああ、そうだね。もう日が暮れちゃったな」
 廊下の窓から見える空はすでに濃紺色に変わっている。
 日が暮れたばかりだからまだそれほど危険というわけではないだろうが、早く帰るにこしたことはない。
「最近は日本でも物騒だっていうし、気をつけて帰るんだよ。休みが決まったら電話するから」
『うん、おやすみなさい。ちゃんと休んでね。プロの翼くんのことだから、体調管理は大丈夫だろうけど』
「うん、ありがとう。それじゃ、おやすみ」
 電話を切ると食堂に戻る。
 石崎が待っていましたとばかりに翼に声をかけてきた。
「おう、翼。長かったじゃねぇか。あねごと何話してたんだよ」
 どうせひやかすつもりなのだろう。確かに人の電話を借りて長々と話してしまったが、話の内容としてはたいしたことじゃない。
「別に、たいしたことじゃないよ。ちょっと用事があって、それでね」
 翼は新田に携帯電話を返す。
「新田、サンキュー」
「いえ、で、早苗先輩はなんですって?」
 新田の場合は会話の内容というよりは、CDの行方が気になるのだろう。
「こんどの休みのとき、おれが彼女から預かってくるから、それまでに代金を用意しておけよ」
 するとヒューッと口笛があがる。
「お、どさくさにまぎれてデートの約束か?」
「あねご喜んでただろ?」
「デートってほどおおげさでもないよ。ちょっとおれのほうが用事を思い出したから、彼女にもつきあってもらおうと思っただけだよ」
 ひやかされはするものの、中学生のときのように照れまくったり否定したりすることはない。
 すでに早苗との仲はここにいるメンバーには知れ渡っているので、特に隠すようなこともないからだ。隠すべきことは隠しているが、それはあえて翼が口にしないだけである。
「デートの口実、作ってあげたんだから、感謝してくださいよ」
 新田は携帯をポケットにいれながら言ったが、それは別におまえの手柄じゃないだろう?と言いたくなってしまった。
 翼はもとの椅子に戻って座ると、頬杖をついて新田に微笑んだ。
「なあ、新田」
「……なんですか?」
 ニコニコと邪気のない笑みを浮かべたキャプテンに新田は思わず回れ右をして食堂を出たくなった。
 おかしい。何かがおかしい。
 いつもと同じ翼先輩の笑顔だ。
 なのに、なぜ危険だと本能が告げているのだろう。
「さっき、早苗ちゃんから聞いたんだけど、CDのことは久美ちゃんから聞いたらしいね」
「なっ!?」
「なんで久美ちゃんが知ってるのかって聞いたら、それは新田に聞けって言われたんだ。………どういうこと?」
 きゅぴーん!
 誰かの恋愛アンテナが立った。というわけではないが、こういう話を面白おかしく聞こうとするやつがこの食堂の中にはたくさんいた。
「新田ー!どういうことだ!?同じ高校の先輩にも言えないことなのか?」
 親しさではやはり同じ高校出身者が勝るので、石崎たちが詰め寄る。
「言えないも何もないですよ!この前…というか離脱していた間、南葛高に戻って鍛えてたから、そのときにちょっと話しただけです!」
「そのわりには、久美ちゃん必死だったらしいよ」
「え」
 頬杖をついたままの翼がボソリというと、新田は一瞬ではあるが頬を緩ませ、慌ててとりつくろうように表情を引き締める。
「やっぱなー!おまえ、なにかっていうと杉本にちょっかいかけると思ってたんだよな!」
「ち、ちがいますよ!そんなんじゃなくて、あいつ反応が面白いからつい」
 ぎゃーぎゃーと騒いでいるのを横目に見やって、岬が翼の隣に腰をおろす。
「珍しいね。翼くんがあんな風に新田をからかうなんて」
「え、そうかな?」
 翼は人のプライベートなことにはあまり首を突っ込まない。もちろん、それがサッカーに関わるとなると話は別だが。
「あ、もしかして、早苗ちゃんが新田に電話したのが気に入らない?」
「……ちょっとね」
 岬相手だからか、翼はちょっと苦笑して本音をばらした。
 どうせなら自分に電話してくればいいのに、と思ってしまったのである。自分から新田に電話を回したっていいのだ。それを逆にやられたので、ちょっとむかついていたのである。
 電話番号を知っているのだから、直接電話したほうが早いとはわかっているのだが。
「いつもは思わないんだけど、これってクセになりそうだね。石崎くんたちの気持ちがわかるなぁ」
 翼はのんきなことを言うが、岬は心の中で思った。
(君がやったら冗談で済まされなさそうだよ…)
 普段が普段なだけに。
 表情は明るいがかなりのヤキモチ妬きのようだ。
 まあ仕方ないかとも思う。
 離れていたときは気にならなかったのかもしれないが、こうして近くにいてみると彼女の周りには男が多すぎた。いや、いまでも多すぎる。ましてや、自分がほったらかしにしていたという自覚が芽生えてしまったので、なおさら気になるのだ。
 でも、こんな翼を見るのも面白いなぁと岬は思った。
(ごめん、新田)
 翼は格好の餌食となっている新田を見て内心で謝り、やっぱり明日の練習では少しだけパスを緩めてやろうと思うのだった。
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