管理人の日々徒然&ジャンルごった煮二次創作SSアリ
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いつの間にか明日は日曜日です。
最近、すっかりキャプつば熱が再燃中でして、ツバサナSSを書いていたりするのですが、今書いてるのがかなり長くなりすぎて、収拾がつかなくなりはじめた(苦笑)
なので、並行して書いてたSSを先に公開します。
さっき書き上げたばかりの新作です。
ワールドユース前に早苗ちゃんがサンパウロまで翼に会いに行ったときの話。
書いてらっしゃる方は多いと思うのですが、私の場合、こんな感じに。
グーグルマップってのはいいねぇ。
世界中のストリートビューが拝めるので、一応スタジアム周辺がどんな感じなのか調べてみた。
といっても参考にはなってない。
ではどうぞ。
最近、すっかりキャプつば熱が再燃中でして、ツバサナSSを書いていたりするのですが、今書いてるのがかなり長くなりすぎて、収拾がつかなくなりはじめた(苦笑)
なので、並行して書いてたSSを先に公開します。
さっき書き上げたばかりの新作です。
ワールドユース前に早苗ちゃんがサンパウロまで翼に会いに行ったときの話。
書いてらっしゃる方は多いと思うのですが、私の場合、こんな感じに。
グーグルマップってのはいいねぇ。
世界中のストリートビューが拝めるので、一応スタジアム周辺がどんな感じなのか調べてみた。
といっても参考にはなってない。
ではどうぞ。
「ぺぺ! ぺぺ!」
モルンビースタジアムの関係者用出入り口にいた友人を翼は捕まえる。
「なんだよ、翼。彼女との感動の再会はもういいのか?」
「うん、それなんだけど、早苗ちゃ……彼女は今日しかサンパウロにいられないらしいんだ。それで、街を案内してあげたいんだけど、いいかな?」
「ああ、いいぜ。それじゃおれは先に寮に帰って……」
「え、ちょっと待ってくれよ」
襟首をつかまれ、ぺぺは「ぐぇ」と声をあげる。
「なんだよ、おれは邪魔だろ!?」
久しぶりに再会した恋人同士にくっついてまわるほど野暮ではない。
だというのに、翼は頭をかきながら苦笑いになった。
「おれだけだといつものランニングコースになっちゃうからさ、ぺぺが教えてくれないか? 彼女がいると、危ないところには行きたくないから」
「しょうがねえなあ」
翼の後ろから小柄な女性が姿を見せる。
東洋人というのは若く見えるというが、いまだ少年のように見える翼と同じく子どものようだ。
「彼女、いくつだ?」
「おれと同い年だよ。中学の同級生だったんだ」
「え、マジかよ。東洋の神秘だぜ……」
翼と同い年ということは、十八歳ということだ。つまりはぺぺとも同い年というわけだが、二、三歳は下のように見える。
「早苗ちゃん」
翼は早苗を手招きした。
「彼はぺぺ。おれが初めてブラジルに来た時に、一緒に入団テストを受けたんだ。この前、トップチームに上がったばかりなんだよ」
「ぺぺだ。よろしくな……ええと、サナエ?」
握手のために差し出したぺぺの手を早苗は握り返した。
「はい。初めまして」
え、と翼は目を丸くした。たどたどしくはあったが、早苗の発した言葉はポルトガル語だったからだ。
「早苗ちゃん、ポルトガル語……」
早苗は恥ずかしそうに下を向いた。
「勉強、したの。翼くんが私のわからない言葉で話してるのが嫌で……簡単な言葉なら喋れるようになったの。あと、ゆっくり喋ってもらえれば聞き取りはできるんだけど……」
独学だからてんでダメだと早苗は言った。むしろ、看板の文字のほうが読みやすいと。
「そうだったんだ……」
いつも驚かされるのは彼女の行動力だ。
会いたかったからと地球の裏側まで来させてしまうなんて。
ここは治安の安定している日本とは違うというのに。
こんなことならやせ我慢しないで、プロになったときに一度くらい帰国して彼女を安心させてやればよかったと今さら思う。
モルンビースタジアムを出ると、サンパウロの街でも比較的治安のよいところをぺぺが案内する。
そろそろ昼食を食べようというところで、ペペは寮に戻ると告げた。
「お昼ぐらい一緒に食べようよ。今日のお礼に奢るから」
「いやいや、もうおまえら二人きりで過ごせよ。ゆっくりと話くらいしたらどうだ?」
じゃあまたな、サナエと言って、ペペは帰っていった。
「ここの店、おいしいんだよ。おれがブラジルへ来たばかりのころ、ロベルトに連れてきてもらったんだ。早苗ちゃんの口にも合うと思う」
いまではすっかりブラジル料理に慣れてしまった翼だが、サンパウロに来た当初は大変だったと言った。
「ロベルトが……、あ、そうだ! 翼くん、すっかり忘れてたけど、どうして引っ越しちゃったの!? ロベルトと一緒に住んでた家は?」
「あ……! ゴメン。実はさ……」
翼は寮に戻った経緯を話すと、早苗の表情が険しくなっていく。
あ、マズイと翼は思った。
「そう……ロベルトがブラジルユースの監督に……それはわかったわ。でも、それならそれでどうして寮に戻ったことを連絡くれなかったの? そういうところは相変わらずのんきなんだから! 翼くんのお母さんだって知らないんでしょ!? 私、おばさんにも頼まれたのよ!」
ロベルトもついてるし、ブラジルのプロチームに所属している選手なのだから、一大事ともなれば実家に連絡くらいあるだろうと、翼の母はそれほど心配はしていなかった。
けれど、連絡もしないとは何事かと、奈津子は早苗に頼んだのだ。
「岬くんだって、翼くんに出した手紙が戻ってきたって心配してたわ」
「え、岬くんが!?」
「今ね、岬くんたちはユース代表合宿に入ってるの。翼くんに知らせたいことがあるって手紙を書いたらしいんだけど、連絡とれないって……私のところに訊いてきたのよ」
「そうだったのか……早苗ちゃんは、岬くんに何か聞いた?」
「詳しいことはわからないの。岬くんが私に電話くれた後から、合宿に参加してる人たちと連絡取れなくなってしまって……」
「なんだって!?」
「私がこっちに来る日程が決まったから、岬くんに翼くんへの伝言でもあればと思って電話したんだけど……合宿所は外部との連絡を完全にシャットアウトされてて、マスコミの取材も拒否されてるって」
「そんなことになってるのか……」
日本では何が起きているのだろうか。
「だから岬くんとも連絡取れないの。ユース代表の情報を漏らさないために、岬くんは連絡できないだけだと思うんだけど……」
「そうか」
それならば心配はいらないだろう。翼に比べれば岬のほうがよほど細やかで気遣いのできる性格をしているのだから。
「あっ、そういえば、これは弥生ちゃんから聞いたんだけど、三杉くんが全日本に完全復帰したんですって!」
「えっ、三杉くんが!?」
「三杉くんはね、高校三年間、サッカー部にも所属せずに心臓病の治療に専念してたの。その甲斐あって、お医者様から太鼓判押されて、試合にフル出場できるようになったのよ!」
「ホントに!?」
「ディフェンスラインを統率するリベロを目指しているんですって」
「リベロ……三杉くんが」
じわじわと翼の心に喜びがこみあげてくる。
翼の年代のDFは決して実力不足ではないと思っている。ジュニアユース時には松山がDFをまとめていたが、翼としては松山はどちらかといえば攻守の要となるボランチのほうが合っていると思っていた。そのほうが彼のボールキープ力を生かせると思うからだ。
そして三杉がディフェンスラインをまとめてくれれば、黄金世代理想のリベロとなってくれるだろう。
「三杉くんならできるさ」
翼でさえも才能において一目置いている彼だ。三杉がユース代表に復帰してくれたのは心強い。
「いまは三年間のブランクを埋めるために頑張っているらしいわ。翼くんがアジア予選前に戻ってくるまでには間に合わせてみせるって、弥生ちゃんからの伝言よ」
「そうか……なんか、楽しみになってきたな。みんなと会えるのが」
「ふふっ、そうでしょう?」
早苗の笑顔にホッとする。
それからやはり日本の話になる。仲間たちからの手紙である程度は把握しているものの、詳しいことはやはり聞いてみないとわからない。
店を出ると近くの公園を歩く。
二人には観光地を巡るよりも話す時間のほうが貴重なものだった。
「岬くんがみんなに提案したんですって。Jリーグに入らずにワールドユース本戦まではユースチームに専念しないかって。三年前、みんなで誓い合ったワールドユース優勝を実現させるために」
翼にもすでに全日本ユースチームへの参加要請が、日本サッカー協会を通してサンパウロFCに送られてきていた。もちろん翼は参加するつもりであったし、チームのほうもユースの試合に限って出場を許可してくれていた。
大会十日前までには帰国する予定だ。そのことを告げると早苗は嬉しそうな顔になる。
「わかったわ。私もそれまでには準備しておくわね」
「準備?」
「…………決めたことがあるの。どこまでできるかわからないけど、私にできるだけのことはするから。ここに来て……翼くんに会えてよかった。私も頑張らないと」
「早苗ちゃん……」
先ほどまでとは違う、早苗の明るい表情に翼はハッとする。
「私ね、短大も目標があって進んだんじゃないの。高校を卒業したら何がしたいのか、何をしたらいいのかわからなくて、両親や先生にとりあえず短大に行ってから考えてみればいいって言われたから決めただけなの。でも、今見つかったから。先のことはまだわからないけど、今、私がやりたいことを見つけたから、とにかく今はそれに全力で取り組むわ。それから後のことはまた考えることにする」
グッと手を握りしめた早苗を翼は眩しそうに見た。
「それで、何をするつもり?」
「あのね……」
早苗は翼に近づくと内緒話をするように耳元に口を寄せた。
周囲に人影はないし、いたとしても日本語を理解するとは思えないのだが、なんとなく大きな声で言えなかった。
翼も背伸びする早苗に合せるように少しだけかがむ。
三年離れている間に、さらに身長差がついてしまったのだなと気づかされた。
そして翼は破顔する。
「それ、きっと早苗ちゃんならできるよ!」
「いい、かな? 私、やっても……」
「もちろん! おれはすごく嬉しいし、みんなの力になると思うからね」
「うん、私、やるわ!」
翼は微笑みを深くした。
彼女が会いにきてくれてよかったと翼自身も思った。おかげで自分の心も定まった。心のどこかで迷っていたのだ。
けれどもう手離せない。手離したくないのだ。
そのためには自分もやらねばならない。
早苗の腰に腕を回して引き寄せた。
「翼くん?」
ふわっと早苗の頬が薄紅色に染まる。
そこへ手を触れて口づけた。
中学生のときのようなただ触れるだけのものではなく、何もかも奪うかのように深く。
「……っ……」
潤んだ目で早苗は翼を見上げた。
清純そうな中にも年相応の色香を漂わせた彼女に、思わぬ衝動にかられた。
コツン、と額をあわせる。
「マズイなあ……」
「え?」
早苗はすごい、と翼は思う。
サッカーさえあればいいと思っていたが、早苗もなくてはならない存在になっていたとは。
もう一度、柔らかくて甘い唇に触れる。
「早苗ちゃん、おれもすぐに帰るから。先に日本で待ってて」
「うん……私、待ってるから……」
早苗が乗った飛行機を見送ると、よしっと気合を入れる。
自分も日本に帰るまでにさらに強くならなければ。
岬や日向たちとともにアジア予選を勝ち抜くために。
そして、ブラジルユースに勝つために。
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