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管理人の日々徒然&ジャンルごった煮二次創作SSアリ
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こりもせずに、「獣王子の花嫁」二次創作SSです。

これは第二巻「王都への帰還」を読了してないとわからないお話です。
読み終わってないと思いっきりネタバレしてますので!

読み終わっている人なら、意味は通じるお話です。

では続きから。

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 彼女のことは特に憎いわけでもなく、嫌いなわけでもなかった。
 ただ、自分にとってはとるに足らない存在なだけ。
 居れば居たで鬱陶しい存在ではあったが、邪魔とまでは思わなかった。
 なぜなら、自分は今一番力のある貴族の家出身の姫で、彼女は凋落した貴族の姫だ。宮廷内の身分は自分のほうが上。
 だから彼女が獣人の国の王子に嫁ぐと聞いても口では「お気の毒」と言いながらも、心の中では嗤っていたのだ。
 なのに何故、彼女があの人の隣にいるのか――
 
      * * *
 
「王が、あの方を解放したですって?」
 バルテア王国第四王女ディアナは侍女から聞いた話に目を丸くした。
 先日、ラグドファルの第七王子と名乗る人間の男性が、国王ロシュアントによって風見の塔へ幽閉された。
 彼は人の身でありながら獣人の王の養子ということだったが、元はバルテアの貴族、カウスガルド家の生き残りだったらしい。
 カウスガルド家は昔、横領の罪に問われて当主が失脚し、家は取り潰されたのだが、失脚するまでに追い込んだのがディアナの祖父、貴族会議長コーザス=ニール=アズライエであったであろうことは容易に想像できた。
 政敵を謀略によって失脚に追い込むことは昔から王宮では繰り返されてきたことだ。
 王家の姫として生まれたからにはそれくらいのことはわかっている。
 常に宮廷内の勢力図を頭に入れておかねば権力を維持していくことなどできないのだ。
 でも、よりによって何故、失脚したのがあの人の家だったのだろうか。
 
 初対面だというのに彼はずいぶんと無礼な物言いをする青年だった。
 そして、ディアナのことを知らないということが信じられなかった。
 しかしそれも当然のことだったのだ。彼はバルテアの者ではなかったのだから。
 二度目に相対したときには、何故かディアナのすぐ上の異母姉とともにいた。
 ラグドファルへ、獣人の王子の花嫁として嫁いでいったあの姉姫を『サミュア』と親しげに名を呼び、自分はラグドファルの第七王子だと名乗ったのだ。
 
 
 バルテア国王ロシュアントは、ラグドファルの第七王子はカウスガルドの名を騙るものではないとして、風見の塔から解放した。
 そしてラグドファル王の名代として賓客扱いすることになったのだという。
 これからしばらくはバルテアとムルム族との和解の交渉役として王宮に逗留するらしい。
 それを聞いてディアナは安堵の息を漏らした。
 彼が罪人扱いされるのだけは嫌だった。
 どうしてそんなことを思うのか。
 彼のことが気になって仕方がない。
 そんな気持ちを落ち着かせようと廊下を歩いていると窓硝子の向こう、庭を歩くユフトの谷の王子の姿があった。
 思わず息を呑む。
 背筋を伸ばしたその立ち姿は宮廷内のどの貴族の男性よりも堂々としている。その動きもしなやかな上に、隙がなさそうだ。
 口元を引き結んだ真面目そうな顔つきは初めて会ったときと変わっていないように見える。
 知らず、目が追ってしまう。
 彼はこちらに気づかず庭をつっきって行く。それを追うように窓際に近づいていくと、微かに誰かを呼ぶような声がした。
 すると彼は立ち止まって振り返り、はにかむように微笑んで手を差し出した。
 その笑顔に胸がざわついた。
 無愛想な人だとばかり思っていたのに、柔らかな笑顔。
 彼の唇が動く。
「サミュア」
 と、彼は言ったような気がした。
 彼が手を差し出した先には、彼の婚約者であるディアナの姉姫がいた。
 その彼女の後ろに黒い大きな影があった。
 それを見ただけでディアナの肩が震える。
 異母姉が供として連れてきた獣人の男性だ。
 恐ろしいとしか思えない外見。
 彼らの今までの行動からみて、いまのところ害のない存在であるとわかってはいるものの、彼らの姿を見るだけで恐ろしいと感じてしまう。
 なのに何故、あの姉は平気な顔をして一緒にいられるのだろう。
 
 もしも――
 
 もしも、私があの獣人たちと笑い合えるようになれば、彼は私を見てくれるだろうか――
 あんな風に優しく笑ってくれるだろうか。
 もしも、あの時、私が断らなければ、自分がラグドファルへ嫁いでいれば、彼と出逢っていたのは私だったのに――
 
 その考えに至って、ディアナは頬が熱くなった。
 馬鹿馬鹿しい。
 なんて愚かなことを考えてしまったのだろう。
 自分や他の姉妹たちが泣いて嫌がったからこそ、つまはじきにされていた異母姉にお鉢が回ったのではないか。
 それに、彼の実父を失脚に追いやったのはディアナの祖父だ。仇ともいえる相手の孫娘に好意など持つはずもない。
 
 ぎゅっと手を握りしめて身を翻し、窓の向こうの彼らに背を向けて歩き出す。
 
 わかってはいる。
 
 わかってはいるのだ。
 
 だけれど、どうしても思わずにはいられない。
 
 どうして――
 
 どうして、彼の隣にいるのが自分ではないのだろうかと――




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独白みたいなものです。
というか、ディアナ姫の反応を見ていたら、こんな感じかな~と思ってしまいました。

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