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管理人の日々徒然&ジャンルごった煮二次創作SSアリ
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「英雄伝説 零の軌跡」クリアしましたー!
というわけで記念ssを書いてみた。

「零」の主人公カップルロイド×エリィです。
ラブラブじゃないけど、微妙にエロい話が入ってます。

久しぶりに2時間弱で書き終えた!
たった今書き終えたばかりなので文章見直してません(汗)
変なところがあったら後で修正しよう。

 

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 クロスベル自治州の中央に位置するクロスベル市。
 そのまた中央近くにあるクロスベル警察分室ビルの一階で、ロイドはコップ一杯の水を飲み干した。
「ふう」
 クロスベル創立記念祭の最終日、《黒の競売会》での一騒動から三日が過ぎた。
(さすがに三日間引きこもり状態ってのもまいるな…)
 そうは思うものの、ルバーチェ商会の報復を警戒しているために迂闊に外を出歩くわけにはいかない。
 少なくとも分室とはいえ警察の建物に襲撃してこないようで、ここにいるかぎりは安全だと思われたが、さすがに食料品の調達だけはしないわけにはいかないので、ロイドとランディが交代で裏口から西通りへ買い物に出ていた。
 おかげでこの三日間、ロイドたちは通信でのみ今回の事件の処理と情報収集をすることになってしまったが、この状況を一人楽しんでいるものがいた。
 
「ロイドーッ!」
 パタパタと軽快な足音とともに、ロイドの胸に衝撃が走った。
 声と足音が聞こえたため、三日間で慣れたロイドは初めてのときのように咳き込むことはなかった。
「シャワーを浴びてたのか、キーア?」
「うんっ」
 先日の《黒の競売会》で謀らずも身柄を預かることになってしまった少女はキーアといい、初対面にもかかわらずロイドたちにすぐに懐いてしまった。
 特に慕われたのがロイドで、ランディ曰く「あれかねぇ、ヒヨコが目を開けたときに目の前にいたものを母親と思い込むってやつか?」というように、ロイドにべったりと懐いていた。
 ポタポタと雫が落ちる髪を見て、ロイドはタオルをとって来なければと思ったが、キーアを追うように階段を降りてくる足音が聞こえた。
「キーアちゃん! ダメよ、ちゃんと髪を乾かさないと!」
 どうやらキーアはエリィと一緒にシャワーを浴びていたらしい。
 エリィのほうは洗い髪を簡単にまとめてアップにしていて普段着を着ている。
 彼女が近づいてくるとキーアと同じ石鹸の香りがして、妙にドギマギしてしまった。
「ロイドのシャツも濡れてしまうでしょう?」
 キーアの頭にタオルを乗せると髪を包み込むようにして丁寧に拭き始めた。
「ホントだ…。ロイド、ごめんなさい」
「いいよ、これくらい。すぐに乾くさ」
 シュンとうなだれてしまったキーアに苦笑してしっとりと湿った髪を撫でる。
「もう、ロイドは甘いんだから」
 そう言いながらもキーアの髪を乾かしていくエリィの手つきは優しい。
 それは俺だけじゃなくて特務支援課全員に言えることじゃないかなとロイドは思った。
 たった三日間ではあるが、キーアはすっかり特務支援課に馴染んでいた。
 キーアを真ん中にしてソファに座る。
 半乾きの髪を梳られながらキーアはロイドを見上げた。
「ねぇ、ロイドはどうしてキーアと一緒にシャワーしないの?」
 突然の質問にロイドは飲みかけていた水を吹き出した。
「う、うーん、それは…」
「キーアちゃん、キーアちゃんは女の子でしょう? ロイドは男の人なの。女の子は男の人と一緒にシャワーを浴びないものなのよ?」
「そうなの? じゃあ、エリィもロイドと一緒にシャワーしないの?」
「げほっ! げほっ…ごほっ…」
「あ、当たり前です!」
「そうなんだー」
 お互いに顔を赤らめ、居たたまれない気持ちになりながらもロイドとエリィは目だけで会話をする。
――キーアは記憶がないんだ。ちゃんと世間一般の常識を教えないと!
――間違ったことを教えたらそのまま憶えてしまうわ!
 うん、としっかり頷きあうと、キーアの疑問には真摯に答えようと心の準備をした。
「ロイドは男の人だから胸がかたいんだね」
「え? ま、まあ、そうなのかな?」
 いつも胸からお腹にかけて飛びついてくるので気になったのだろうか。
 ランディほど立派な体格はしていないけれど、警察学校時代から体は鍛えてきているし、今でも時間があれば筋トレは欠かしていない。
 筋肉はついてるほうだと思うけど、と思っていると思わぬ爆弾が落とされた。
「エリィの胸はね、大きくて柔らかいんだよ。触ったらスベスもが」
「きゃあああっ!?」
 スベスベしているとでも言いかけたのだろうがエリィが慌ててキーアの口を塞いだ。
「キーアちゃんっ! そういうことは言わなくていいの! ロイドには……いいえ、男の人に女の人の胸の話なんてしちゃいけません!」
 わかった? とエリィが言い聞かせるとキーアは口を塞がれたままコクリと頷いたので手を離す。
「もうお部屋にいきましょう? キーアちゃんの部屋を作ったし、ベッドも用意したから今日からはそっちで寝ましょうね」
「えー? キーア、ロイドと一緒でいいよ~!」
「ダメよ」
「でも今日までは一緒に寝てたのに」
「それはキーアちゃんのベッドがなかったからよ」
 まるで母親が子どもを諭しているようだとロイドがその様子を眺めていると、キーアが振り返った。
「ロイド! ロイドもキーアと一緒に寝ちゃいけないって思うの?」
「う…、そうだな。でもキーアだって一人で寝れないわけじゃないだろう?」
 無垢で仔犬のような目で見つめられるとどうにも弱い。
 だがここは心を鬼にしなければ!
「う~…わかった」
 不承不承頷いたキーアは立ち上がる。
「ホットミルクを入れてあげるわね。先に部屋に行ってて」
「はーい。ロイド、おやすみなさーい」
「ああ、おやすみ」
 階段を上がっていくのを見届けるとエリィはロイドに向き直った。
「ロイド、さっきの話は聞かなかったことにして」
「さっきの…」
「だから、シャワーの…」
 ロイドをチラチラと見るエリィの頬は赤くなっている。
「あ、ああ、わかってる」
「そ、そう? お願いね」
 そそくさと立ち去ろうとエリィは今一度立ち止まった。
「思い出してもダメよ?」
「も、もちろん!」
 エリィと別れて階段を昇り自室に戻る。
 
「それは難しいよなぁ」
 ベッドに仰向けになって天井を見上げた。
 この上はエリィの部屋だ。
 健全な十八歳男子としてはそれなりにスケベ心は持ち合わせているわけで。
 優しくて美人な同年代の女性が同じところに住んでいて、それを意識してないなんて口が裂けても言わないけれど。
 聞かなかったことにすることは難しいけれど、考えないようにしよう。
 うん、なるべく。
 なるべくな。
 そんなことを考えながらゆっくりと目を閉じた。
 
 
 翌日。
「あ、ロイド、おはよー」
「キッ、キーア! なんでここにっ」
「ロイド……あなたって人はっ」
「違う! 誤解だ! キーアが勝手に!」
「鍵くらいかけておいてください」
「キー坊、夜這いをかけるとはなかなかやるな」
「よばいってなにー?」
「ランディ、余計なことは教えないで!」
 
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